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つみぐさ 令和3年6月号

目次

 1.大阪東部サイクリングマップのご紹介 その3
 2.漢字の義26 女偏
 3.暮らしミニ情報 絵本の読み聞かせは今 遠隔でも伝わる
 4.プラットホームの話 その11 駅係員によるサポート
 5.私の小さな旅 その15 桜紀行 瀬戸内
 6.編集後記

1.大阪東部サイクリングマップのご紹介 その3
(発行 大阪府まちづくり戦略室、令和2年9月作成)

昨年の12月号から掲載、3回目の今号は、初級の2コースと上級1コースです。

@ 【初級レベル】潮風に吹かれながら橋をつなぐ 新旧大阪ベイエリア巡り
  距離 19.6km
  所要時間 1時間20分
  獲得標高(スタートからゴールまでのあがった高さの総計) 146m

  スタート地点(大阪メトロ南港ポートタウン線トレードセンター前駅)→ 
 フェリーターミナル、この間、3.8km・15分
  フェリーターミナル → 新木津川大橋、この間、4.0km・15分
  新木津川大橋 → 千本松大橋、この間、3.3km・15分
  千本松大橋 → 住吉大社、この間、4.0km・15分
  住吉大社 → 南海堺駅、この間、4.5km・20分

 2025年の大阪・関西万博に向けて整備が進むベイエリアを出発し、南港の島から島をつなぐのは、目が回るようにぐるぐると続くループ橋です。海や街を感じながらのサイクリングはまさに爽快です。そして住吉大社の脇にある大灯(おおどう)籠(ろう)や、堺(さかい)旧港(きゅうこう)(堺の旧い港)からすぐの旧堺灯台と、大阪の海を感じることができます。ここから泉州地域の海岸沿いを南下するのもオススメです。

A 【初級レベル】ならまちまで一気にアクセス 奈良の川沿いサイクリング
  距離 32.9km
  所要時間 2時間10分
  獲得標高(スタートからゴールまでのあがった高さの総計) 250m

  スタート地点(柏原市民文化会館リビエールホール)→ 国分寺大橋、この間、4.0km・
 15分
  国分寺大橋 → 御幸(ごこう)橋(ばし)、この間、9.5km・40分
  御幸橋 → 近鉄平端駅、この間、4.7km・20分
  近鉄平端駅 → 薬師寺、この間、8.5km・35分
  薬師寺 → 唐招提寺(とうしょうだいじ)、この間、0.8km・3分
  唐招提寺 → 奈良公園、この間、5.4km・20分

 このコースは、柏原リビエールホールを出発し、平坦な河川敷をつないで奈良の中心部へ向かうコースです。大和川上流の支流の一つである、佐保川(サホガワ)サイクリングロードを進むと、ならまちまで簡単にアクセスできるので、東大寺をはじめとした寺院巡りだけでなく、若草山から先のマニアックなグラベルコースへもつないでいくことが可能です。

B【上級レベル】連続するアップダウンを駆け抜けろ!
        グリーンロードから金剛山地を超えるハードライド
  距離 72.9km
  所要時間 7時間45分
  獲得標高(スタートからゴールまでのあがった高さの総計) 1722m

  スタート地点(近鉄古市駅)→ 道の駅 近つ飛鳥の里・太子、この間、6.9km・50分
  道の駅 近つ飛鳥の里・太子 → 持(もち)尾(お)展望台、この間、上り、4.1km・45分
  持尾展望台 → 行者(ぎょうじゃ)湧水(ゆうすい)直売所(ちょくばいしょ)、この間、上り下りを繰り返す、19.3km・115分
  行者湧水直売所 → 金剛トンネル(標高約600m)、この間、上り、3.8km・65分
  金剛トンネル → パン工房 YUM-YUM、この間、下り、6.8km・15分
  パン工房 YUM-YUM → 紀見峠(標高約400m)、この間、後半上り、15.1km・110分
  紀見峠 → 道の駅 奥河内くろまろの郷、この間、下り、12.8km・45分
  道の駅 奥河内くろまろの郷 → 南海・近鉄河内長野駅、この間、4.1km・15分

 スクアドラ平野店の谷岡(たにおか)駿(しゅん)店長がお勧めする、上級コース。
 大阪南東部の広域農道である「南河内グリーンロード」は、山の中腹に伸びていることからアップダウンやカーブが小刻みに連続し信号も少ないので、まさにジェットコースターのような道です。ここを南下していけば、大阪南部の有名ヒルクライムコースである「水越(みずこし)峠(とうげ)」や「金剛山ロープウェイ」にも簡単にアクセスできます。紀(き)見(み)峠(とうげ)から大阪側へ戻ってくるショートサイクリングにするも良し、和歌山や奈良の山岳へ走りに向かうのも良しの健脚サイクリストにイチオシコースです。
 世界遺産に登録された古市(ふるいち)古墳群からほど近くにある近鉄古市駅を出発し、日本最古の街道である竹内(たけのうち)街道の中腹にある道の駅近(ちか)つ飛鳥(あすか)の里・太子を経由します。この道の駅は南河内の山々をつなぐ広域農道であるグリーンロード上の数少ない補給スポットになっています。その後、アップダウンの激しいグリーンロードを走り、持(もち)尾(お)展望台を経由して、金剛山へと向かいます。金剛山を上る途中にあるのが地元の農産物直売所である行者(ぎょうじゃ)湧水(ゆうすい)直売所(ちょくばいしょ)です。林業で栄えるこのエリアならではの、木材を生かした休憩所には自動販売機やトイレがあるので補給ポイントに立ち寄ってみてください。終盤のきつい勾配を走り、大阪と奈良の県境にある金剛トンネルを抜けて、奈良側へ駆け下ると、サイクリストである店主が営むパン工房ヤムヤムがあります。このパン屋さんの名物はプディングで、店の前にはサイクルラックや軽食スペースも設けられているため、サイクリストに人気のパン屋です。
 パン屋でくつろいだ後は、和歌山と大阪をつなぐ紀見峠を越えて、ゴール地点の近鉄河内長野駅まで一気に走り抜けましょう。

  「道の駅 近つ飛鳥の里・太子」
 住所 南河内郡太子町大字山田2265-1
 電話 0721-98-2786
 時間 9時〜17時(売店)、その他は24時間
 難波(なにわ)と飛鳥を繋ぎ、日本最古の街道と言われている「竹内街道」。その竹内峠の中腹にある道の駅は、グリーンロード上の数少ない補給スポットだ。この駅のある太子町は数多くの古墳も残り、歴史ロマンが漂う。

  「持尾展望台」
 住所 南河内郡河南町大字持尾1069
 グリーンロード途中に位置する、南河内エリアから大阪湾までを一望できる展望台。夕陽の名所としても知られている。このコース上で数少ない、視界が開ける絶景スポットのため、ぜひ立ち寄りたい。
 
  「行者湧水直売所」
 住所 河内長野市石見(いしみ)川(がわ)8-2
 電話 0721-60-5551
 時間 8時30分〜16時
 名水が湧くことで知られる金剛山を上る途中に現れる、地元の農産物などの直売所。林業で栄えるこのエリアならではの、木材を生かした休憩所には自動販売機やトイレもあるので補給ポイントに立ち寄ろう。
 
  「金剛トンネル」
 国道310号の大阪と奈良の県境にあるトンネルは、獲得標高452mとなるヒルクライムコース。大阪側から上ると終盤にはきつい勾配やコーナーが連続していく。トンネルを抜けると、奈良や和歌山の奥地に連なる山々の景色を一望できる。
 
  「パン工房 YUM-YUM」
 住所 奈良県五條市(ごじょうし)田園(でんえん)3-20-6
 電話 0747-23-5530
 時間 8時〜19時
 休み 火曜・水曜
 自身もサイクリストである店主が営むパン屋さんの名物はプディングだ。店の前にはサイクルラックや軽食スペースも設けられているため、サイクリング途中にも立ち寄りやすい。

  「紀見峠」
 和歌山と大阪をつなぐ際の山岳コースの中で最も標高が低いこの峠は、かつては高野山へ続く街道としても栄えた歴史の道。道幅が狭く交通量の多い紀見トンネルの回避ルートとして、ぜひ活用したい。ピークのそばにはトイレやベンチもあり。
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2.漢字の義26 女偏

                     わこさん

1 取るの下に女
    読みは、シュ、シュウ、ス、ソ、ショ、めとる      
    意味は、嫁をとる
    熟語は、娶婦(シュフ) 嫁をとること
        娶女(シュジョ)嫁をとること
娶稼(シュカ) 嫁めとりと嫁いり

2 女偏に取る
    読みは、シュ、シュウ、ス、ソウ、よめ
    意味は、よめ、女の名、美女
    熟語は、娵偶(シュグウ)魚の異名、馬のたづな

3 女偏に右側に阿倍野の阿       
    読みは、ア、しなやか
    意味は、女のナヨナヨとして美しきこと
    熟語は、婀娜(アダ)しなやか、たおやか  
        婀嬌(アキョウ)なまめかしきこと

4 女偏に因(イン)
    読みは、イン、婚を結ぶ
    意味は、親族、縁者、婿の家 
    熟語は、姻弟(インテイ)婿の弟
        姻戚(インセキ)配偶者の親戚
        婚姻(コンイン)結婚すること

5 女偏に老人の老
    読みは、ボ、モ、ボウ、モウ、うば、ばば
    意味は、老いたる女のこと
    熟語は、姥頬(ウバホオ)武具。鉄面(かなめん)の一種である面頬(メンホオ)
         姥桜(ウバザクラ)桜の変種。盛り過ぎたる女

これらの漢字は講談社の大辞典より引用しました。
  
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3.暮らしミニ情報 
  絵本の読み聞かせは今 遠隔でも伝わる
                     大滝 龍
 

 絵本を通じて子どもの心を豊かにする読み聞かせ活動。全国各地で営まれ、本離れの防止に貢献してきた。新型コロナウイルス禍で対面では難しくなった今、「対面が本来」という葛藤を越え、オンラインで開催する試みが芽吹いている。
「うまれるまえ わたし くものうえにいたの……」。ひだのかな代さんの絵本「うまれるまえのおはなし」を、読み手の佐賀のり子さんがパソコンを前に朗読する。2020年に行われた「オンライン絵本会 にじのひろば」の一幕だ。
 絵本会は東洋大の竹内(たけうち)美紀(みき)准教授(児童文学)を代表とするボランティアグループが運営。一斉休校が始まった同年3月に始め、当初の1か月は毎日開いた。その後は間隔を空け、現在は月2回のペースで続いている。
 1回に3冊程度を取り上げるが、必ず作家や出版社の許諾を得ている。
 「幼い子が電子メディアに触れることに賛成ではなかった」。
 認定こども園を運営する札幌市の学校法人理事長を務める佐賀さんは振り返る。だが読み聞かせながら画面に映る子供の表情の変化を追うと「思いのほか伝わっている、人と人の交流が成立している」と感じるようになった。
 オンラインで伝えられないものは多い。対面の場の人の温もりや空気感、装丁や紙質を選んで作られた絵本の手触りなどだ。
 一方で遠隔開催の利点もある。絵本会には国内各地のほか海外にいる日本人のこどもや大人も参加。聞き手の幅が広がった。サイズの小さい絵本や立体が飛び出すしかけ絵本をクローズアップして見せることもできる。外国のこどもが日本語に親しむ機会にもなる。
 「コロナ禍であきらめるのではなく、工夫して本を読む楽しみを伝えようとする姿勢を大人が示すことが大事。」代表の竹内さんはそんな意義も強調する。
 「うんこ!」「きみのきもち」などの作品で知られる絵本作家のさとしんさん(58)は1月、鳥取市の男性保育士のグループが初めて企画した遠隔での絵本イベントに参加した。自作の朗読ではこどもたちに登場人物のセリフをいっせいにさけんでもらう場面を何度もつくり、一体感を生んだ。
 コロナ以前は各地で開かれる絵本イベントに積極的に出ていたさとしんさん。やはりオンラインでの読み聞かせには「相当否定的だった」。だが今、絵本は家での時間を過ごす親子のコミュニケーション手段として見直されている。「こんな大変な時だからこそ(遠隔も含む)いろいろなツールを使って絵本の楽しさを発信していきたい」と話す。
 対面の価値とオンラインの可能性をめぐる葛藤が絵本の世界にもある。しかしそのどちらでも、絵本は作者や読み手の思いや願い、世界観を伝える役割を果たしてくれる。対面と遠隔は二項対立ではなく、共存できる。
 (2021年1月24日付)
 (暮らしミニ情報「日経新聞電子版より」)     

4.プラットホームの話 その11 
  駅係員によるサポート
                     かず

 今回からは、駅やホーム上での人によるサポートについて記すこととしよう。
 ここでは、単独歩行中に利用することが多い、駅係員によるサポートと一般の方が行うサポートについて述べたいと思う。

1 駅係員によるサポート
 現在ほとんどの鉄道会社では、視覚障害者からの事前の申し出により、列車の乗降や駅構内の移動に対して駅係員や常駐している警備員などによるサポートを受けることができる。

     「どこまでサポートしてくれるの」
(あ)券売機までの案内と切符の購入
(い)改札口から乗車するホームの乗車位置までの案内
(う)列車乗車時のサポートと安全確実に乗車したという見守りと確認
(え)到着駅での列車からの下車時のサポートと安全に下車したかどうかの確認
(お)下車した位置から視覚障害者が指定した場所までの案内
 などである。またトイレへの案内、飲み物などの購入など短時間の買い物もサポートの対象となっている。(トイレについては、同性の係員が手配できないという事情で入り口までの案内となることもある。)

     「サポートできないことは」
 次のような場合は、いろいろな条件がそろったときのみサポートできることがある。
(あ)列車内の空いている座席への案内。これについては、始発駅や停車時間が長いなど、条件が許すときのみ案内していただける。
(い)座席から下車するドアまでの案内。これについても車掌が複数人乗車しているなど、条件が許すときのみ案内していただける。車内での移動については、この後記す「一般の人によるサポート」をうまく活用することが望ましい。
(う)下車駅からある程度離れた施設等への案内。下車したホームから指定するところまでの案内が可能と記したが、原則として案内できるのは駅構内を出ない範囲、もしくは駅に隣接しているバス乗り場やタクシー乗り場までである。駅から5分以上歩かなければならない場所などへの案内は原則として対応していない。他のサポート手段と組み合わせるのが良いだろう。

     「他のサポートについての疑問」
Q1.各駅停車から急行への乗り換えや他の路線への乗り換えは大丈夫ですか。
A1.列車同士の乗り継ぎや同じ会社の他の路線への乗り換えに対応しています。乗車駅で、乗り継ぎの希望や乗り換えなど具体的に申し出ればほぼ対応していただけると思います。
Q2.他の鉄道会社との乗り換えは大丈夫ですか。
A2.他の鉄道会社間の乗り換えの場合、駅係員は他の会社の係員と直接、電話や無線で連絡を取り合うことはできないようです。そのため、駅係員が乗換駅まで案内した後、他の会社の係員に引き継ぐということとなっています。少し時間はかかるようですが、大阪のターミナル駅などでは概ね対応できています。たとえば南海難波とJR大和路線のJR難波、近鉄大阪難波と南海難波、阪急梅田とJR大阪駅などは難しいかもしれません。阪急淡路駅とJR大阪東線のJR淡路駅、京阪守口市駅と大阪メトロ谷町線の守口駅などが該当するかもしれません。ダメ元でも一度聞いてみることは価値があると思います。

Q3.希望する乗車位置から乗車できますか。下車駅では人が多いため、あまりホームを歩きたくないので、乗車するときに下車駅の階段に近いところで乗車したいのです。
A3.今では、概ね視覚障害者の希望する乗車位置で乗車できると思います。しかしまだ一部の会社や駅係員は、車内での安全性を最優先させるために車掌がいつでも見守りと対応ができることが必要という理由で、乗車位置を指定することもあるようです。これについても、サポートを依頼するときに希望を出すことが良いと思います。ホームを歩く距離が少なくなることは、サポートする係員にとっても負担が少なくなりますので、お互いメリットはあると思います。

Q4.サポートのスキルは大丈夫ですか。
A4.以前は視覚障害者のサポートについての対応力はかなり個人差があったのも事実でした。手引きの仕方や声かけの方法なども人によってかなりの違いがありましたし、障がい者は必ずエレベーターで上下を移動しなければならないなどの思い込みもあったこともたしかです。その理由の一つとしては、理解不足と研修不足という面があったと思われます。しかし最近では、多くの鉄道会社の職員は障がい者への理解とサポート方法について定期的な研修を受けているようですし、その成果を解りやすくする一環として、「公益財団法人日本ケアフィット共育機構」が行っている「サービス介助士」と言う民間の認定資格を取得している人も多いようで、一定のレベルを持っている人が増えていますので、安心して良いと思います。また以前は視覚障害者側からの希望などあまり言ってはいけないという雰囲気もありましたが、今は無理のない範囲で、希望を伝えたほうが良いと思います。

2 実際にサポートを依頼する手順
 では実際にサポートを受けるための手順などを記してみよう。

(1)駅係員に申し出る
 まずサポートを依頼するには駅係員に申し出なければならない。しかし我々が単独で係員を
見つけることは難しいので、ここでも一般の人のサポートも活用したほうが良いだろう。単独
で見つけることができるヒントとしては、以下の方法がある。
 まずは、券売機の「呼び出し」ボタンを押すという方法。
 本来は切符の購入のサポートを受けるときに使うものであるが、ここで切符の購入と列車の乗降についてのサポートを依頼するのは合理的である。
 次は改札口の左右どちらかに敷設されている点字ブロックを見つけること。
 この点字ブロックは、基本的には、駅係員のいる改札口を通るように敷設されている。なお、最近では、有人の改札口は、ガラスの自動ドアで仕切られた事務室のようなところになっている場合も増えている。ブロックを伝っていくとなにかの入り口に案内されてしまい、ほんとうに改札口にたどり着いたのかという不安を持ってしまう場合もあるので、注意しておく必要がある。

(2)実際にサポートを依頼する
 駅係員と無事に会うことができれば、必要なサポートを依頼する。まず必ず伝えないといけないことは、視覚障害者であることと最終的に下車する駅名である。その状況に対応して、駅係員がサポートに必要と思うことを尋ねてくるので、できる限り具体的に詳しく伝えることが大切である。
 尋ねられることとしては、「最終的に下車する駅の確認」「下車駅でのサポートが必要かどうか」「下車駅でのサポートが必要な場合、どの場所まで案内してほしいか」「下車駅まで乗り換え無しで行くのか、途中で急行や特急などに乗り換えるのか」などである。特に下車駅に改札口や出入り口が複数ある場合には、可能な限り改札口名や出入り口の名前や番号などを伝えておくと目的地までスムーズに案内していただける。また下車後他の鉄道に乗り換える場合には、「○○電鉄に乗り換えて○○まで行きたいので手配していただけないでしょうか」と必ず確かめることも大切である。すでに書いたように、多くの場合案内が可能なことが多い。

(3)乗車位置まで移動する
 移動の際次のことを尋ねられることがあるので、具体的に伝えよう。「ホームまでの上下移動の際、エレベーターを使用するか、階段またはエスカレーターを使用するか」「乗車する位置の希望があるかどうか」。もし係員にお任せしますという選択をした場合は、エレベーターで移動し、列車の一番後ろの車掌の近くに案内されることが多いようである。特に乗車位置などで希望がある場合は、具体的に伝えたほうが良いだろう。

(4)乗車
 乗車位置に到着してから列車が入線するまでの間は駅係員がその場を離れることが多いので、不用意にその場を動くことなく注意して待つ必要がある。可能な限りベンチに案内してもらい座って待つほうが良いだろう。

(5)下車後
 下車の際は、駅係員が列車まで乗り込んでサポートしてくれることは少なく、ホームでの声による指示だけのことが多いため、単独の時と同様、慎重に行動することが必要である。また最終的に案内していただく場所については、可能な限り具体的に場所を指摘することが次の行動に便利である。
 たとえば、西口改札といっても、かなりの幅があると思われるので、「西口改札を出たところの一番右端にある誘導ブロックのところ」「東出入口の一番左側を出て左手にある信号のところ」「5番出入り口の階段を上って地上に出たところ」などである。

3 サポートを受けるのに注意しなければならないこと
 今まで記したように駅係員によるサポートは我々にとって非常に安全性が高く安心して活用できる手段といって良いだろう。しかし注意しなければいけないこともある。

(1)単独で列車に乗るよりもさらに時間に余裕を持って駅に到着しておく必要がある。
 駅係員のサポートを利用する場合は乗車までかなり時間がかかることを念頭に置いておく必要がある。その理由としては、まず駅係員を見つけるまである程度時間がかかる可能性があること。乗車位置まで案内するスタッフの手配に時間がかかることがあること。依頼者からの情報を聞き取り、確認しなければならないこと。下車駅や乗換え駅に依頼者の情報を伝えて、スタッフの手配が可能なことを確認しなければならないことなどの手順が複雑なことである。特にいちばん時間がかかるのが下車駅や乗換え駅への依頼者の情報の伝達とスタッフの手配が完了したという確認を得る作業である。
 各鉄道会社がどういう方法で確認作業をしているのかは良く解らないが、私鉄に比べてJRの方がかなり時間がかかるようであるのと、必ず確認作業が終わってから乗車する列車を決めるようで、乗車までに時間がかかっていることが多いようである。
 私鉄の場合は、乗車時間がある程度長い場合は、依頼者を先に列車に乗車させた後に確認作業を行っている場合もあるようで、意外と早く乗車できることもある。しかし乗車時間が短い場合は、どうしても先に確認をしてからの乗車となるため、かなり待たされることが多くなるようである。わたしの経験では、乗車予定の20分くらい前までには依頼した方が良いようである。

(2)下車する時は必ず白杖を使用することと乗車したドアから必ず降りること。
   また乗車するときと同じ服装をしている方が良いだろう。
 下車駅や乗換え駅には、依頼者の外見的な情報とどの列車の何両目の何番目のドア位置に乗車させたことを伝えており、その情報を頼りにスタッフが出迎えることとなっている。そのため、勝手に下車する車両やドア位置を変更してしまうとスタッフが依頼者を見つけることが困難となる。くれぐれも勝手に下車する車両やドア位置を変更することは慎んでいただきたい。
 伝えられている情報としては、「視覚障害者で白杖を使用している男性、または女性」「見た目の身長、体型、服の色」など。そして乗車した列車種別や列車番号。乗車した場所(3両目の2番ドア)などである。
4 無人駅への対応
(1)大阪府内でも増えている無人駅
 無人駅というとかなり田舎で1日に100人も利用しない駅で、大阪では全く無縁のものと思っている方も多い。しかし今はけっしてそうではない。
 大阪府下でも確実に無人駅が増えているのである。私鉄では、特に南海や近鉄で増えており、南海では、南海本線の岸和田から南の各駅停車しか停車しない駅や高野線の河内長野から南の区間。近鉄では、南大阪線の松原から先の区間などで多くなっているようである。JRでは都心に近いところでも乗降客が少ない駅では無人駅となっているところが増えているようで、JR京都線の「JR総持寺駅」、大阪東線の「新加美(しんかみ)駅」や「衣摺(きずり)加美北(かみきた)駅」などはきわめて都心に近いところではあるが無人駅である。鉄道会社では、新型コロナの影響などで収益が悪化していることや、今後の人口減少による収入の伸び悩み、鉄道事業に関わる労働者の不足が予想されることなどを見越して、大幅な人員の削減を検討しているという話も出ているそうで、都心であっても無人駅は増えていく可能性は高い。

(2)無人駅でのサポートの依頼方法は
 乗車駅や下車駅が無人駅の場合、駅係員によるサポートは全く受けられないと思っている方も多い。たしかに駅に出向いてすぐにサポートしてほしいというのは無理である。しかし手順を踏めば今すぐとはいかないがサポートを受けられるのである。
 以下にその手順について記す。
(あ)近鉄と南海の場合
 近鉄と南海の場合は、以下の手順で依頼することができる。乗車駅が無人駅の場合は、まずその駅を管理している「管理駅」と言われる比較的乗降客の多い駅に電話をして依頼する。依頼を受けた管理駅から乗車駅まで駅係員が出向き乗車のサポートを行う。乗車駅・下車駅とも無人駅の場合も、乗車駅を管理している管理駅に電話をして依頼すれば良いようである。乗車駅が有人駅で下車駅が無人駅の場合は、有人駅で申し出れば、無人駅に係員を手配してくれるようである。管理駅の電話番号が解らない場合は、サービスセンターに電話するかホームページから調べることができる。
 サポートを依頼してから乗車できるまでどれくらいの時間がかかるかは管理駅からの距離や様々な状況によって変わるようではあるが、わたしが質問した感じでは、早くて30分くらい、場合によっては2時間くらいかかることもあるとのことであった。

南海テレホンセンター
電話 06-6643-1005 受付時間:8:30〜18:30(年始を除く)

駅情報 南海電鉄
http://www.nankai.co.jp/traffic/station.html

近鉄電車テレフォンセンター
電話 050-3536-3957
8:00〜21:00(年中無休)

近畿日本鉄道 駅バリアフリー施設のご案内
https://www.kintetsu.co.jp/barrierfree/barrierfree.html

(い)JR西日本の場合
 JR西日本では、駅に電話を設置していないため、乗車駅が無人駅の場合は、
 おからだの不自由なお客様のサポートダイヤル電話 0570-00-8989(受付時間:8時から20時)までに連絡しての依頼となる。
 「依頼してから乗車までどれくらい時間が必要か」と質問したところ、「どれくらいかかるかは駅の場所やいろいろな状況によって変わるのでなんとも言えないが、できれば前日までに依頼してほしい」とのことであった。また「乗車駅が有人駅で、下車駅が無人駅の場合は、乗車前に有人駅でも依頼はできるが、乗車までどれくらいかかるかについては詳しいことは言えない」とのことであった。
 無人駅での対応については、JRよりも私鉄の方がかなり良いようである。

(う)駅の無人化阻止の裁判も
 全国でも無人駅は増えている。そういうなか、昨年9月23日に大分市内に居住する車椅子使用者3名がJR九州に対して「駅の無人化は健常者と同じように必要なときにいつでも鉄道を利用することが困難となり、障がい者の自由な移動の権利を著しく侵害するもので合理的配慮を行わなければならない障がい者差別解消法にも違反している。」との訴訟を大分地方裁判所におこしており、現在審理中である。それに対して、JR九州側は、「やや不便とはなるが、事前に申し出れば係員を手配してのサポートを行う仕組みは準備している。乗降客の少ない駅に係員をつねに配置することは当社にとってはきわめて過剰な負担となるので、合理的配慮の範囲からは逸脱している。」として争っている。今後この裁判がどうなるのか注目である。
 以上駅係員によるサポートについて記してきた。我々にとってはきわめて安全に駅構内やホーム上を移動できる手段であり、ホームドアが設置されたとしても必ずおこなっていただきたいサービスである。しかし今後は鉄道会社の大幅な人員削減により駅の無人化が進み、必要なときにすぐにサポートが受けられない状況が増える可能性が高くなることも考えられる。早いうちに特に乗降客の少ない駅についての安全確保対策や障がい者などに対してのサポートの方法・駅の管理体制などを鉄道会社・行政・障害者団体などで話し合い、双方が納得できる仕組みを作っていく必要があると思う。なにもせずにこのまま放置すれば、そう遠くない将来には、乗降客の多い主要駅以外は無人となるだろう。駅係員にサポートを依頼するには、スマホによる事前予約が必要ということになりかねない。
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5.私の小さな旅 その15
  桜紀行 瀬戸内
                   今茨木童子

 丁度出かけるとき、大阪は桜が満開。新幹線に乗って岡山へ。
 沿線の山々もこの時期にしか見ることの出来ない、山桜が咲いている。あちらの山にも、こちらの小高い丘にもピンクの花を咲かせている。
 岡山で宇和島行きの特急「潮風」に乗って瀬戸大橋を渡って四国路に入る。国民休暇村「東予」に行くのです。この年は、桜はこの沿線でもピンクに飾った姿が見えました。瀬戸内海に突き出た岬の小高い丘に建つので、景色はいい。最近はどこの宿泊所もバイキング方式が多くなっており、見えない私には料理を取ることが出来ないので、取ってもらうことになる。苦手なのが入っていたりするが、文句は言えないのである。それと、大浴場に行きたいのですが、行くことが出来ないため、内風呂付きの部屋を予約している。もちろん事前に申し入れしておけばボランティアの人がサポートしてくれる所も多くなっていますが。
 あくる日、近くの道の駅前のバス停まで送ってもらい、バスで今治に出て、JR福山駅行きの「しまなみ街道」を走る高速バスに乗りました。いろんな形の橋が島伝いにかかっていて、風光明媚な所を走るのである。橋は下を通り抜ける船のために高く設計されており、また、騒音問題も心配ないので騒音壁やガード壁も付いていない。国立公園「瀬戸内海」の一番島の多い所を走るので、橋と島と海と空のコントラストがよりいっそうきれいに見えるのですね。が、見えない私には残念としか言いようがない。景色の代わりという訳ではありませんが、JR福山駅の新幹線ホームの売店の「生もみじ饅頭」を買って、帰りの新幹線の中で美味しく頂きました。
 その一週間後に塀の無い刑務所「松山刑務所大井造船作業場」で脱走事件が起き、しまなみ海道も一時閉鎖されました。かち合わなくて良かったです。

6.編集後記
                   上田 一裕

 今茨木童子さんの「丁度出かけるとき、大阪は桜が満開。新幹線に乗って岡山へ」は、四国路、東予まで足を伸ばします。大滝龍さんの「暮らしミニ情報」は、「絵本の読み聞かせは今 遠隔でも思い伝わる」は、オンラインを用いた読み聞かせについてです。
どうぞご期待ください。
 夏から秋にかけて旬を迎えるフルーツにいちじくがあります。イチジクにはフィシンなどの酵素が含まれていて、食後に食べると、消化を促進させてくれます。
 また、赤ワインやブルーベリー、ザクロと同じように、脂肪酸などの酸化を防ぐ働きがあります。それによって活性酸素の発生を抑え、動脈硬化の予防に役立つといわれています。からだがウキウキ喜ぶおいしい優等生です。
 ドライフルーツもありますので、活用されてはいかがでしょうか。
 読者の皆様にはご自愛ください。                        


大阪府視覚障害者福祉協会

〒537-0025
大阪市東成区中道1丁目3-59
大阪府立福祉情報コミュニケーションセンター内
視覚障がい者支援センター

TEL 06-6748-0615
FAX 06-6748-0616