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つみぐさ 令和5年3月号

目次

 1.漢字の義 33 さんずいへん
 2.暮らしミニ情報 コーヒーを毎日飲む人は動脈硬化が進みにくい
 3.踏切は危険 その2
 4.健康道場 53 京の梅
 5.私の小さな旅 その22 社員旅行で北陸道、粟津温泉
 6.大阪に関すること いろいろ1
 7.編集後記

1.漢字の義 33 さんずいへん
                         わこさん

1 さんずいへんになり(池)
  読みは、チ・ヂ・タ・ダ・いけ
  字源は、もとは揚子江の一支流の名、故にさんずい篇、転じて池の意味
  熟語は、池上(チジョウ) 池のほとり。池の上
      池文(チブン)  池の波のもよう
      池田(チデン)  池と田と。また、苑中に在る池を埋めて田とせし所
      溜池(タメイケ) 用水を溜めておく池

2 さんずいへんに王様の王(汪)
  読みは、オウ・だいなり
  意味は、水の廣く深きこと。大なり。停水の臭い
  熟語は、汪汪(オウオウ) 水面の深きひろきこと
      汪洋(オウヨウ) 大きくして廣きこと
      汪浪(オウロウ) 水の盛んに流ること

3 さんずいへんに及ぶ(汲)
  読みは、キュウ・ギュウ・くむ
  意味は、井戸より水を汲み上げること
  熟語は、汲上(クミアゲ)  水などを汲み上げること
      汲水(キュウスイ) 水をくむこと
      汲引(キュウイン) 水をくみあげること。転じて人をくみあげること

4 さんずいへんにさだめ(決)
  読みは、ケツ・ケチ・ケイ・さく・きむ・わかつ
  意味は、地をきりて水を導き流すこと
  熟語は、決明(ケツメイ) 植物、えびすぐさの異名
      決敗(ケッパイ) きりくづすこと
      決理(ケツリ)  とりきめおさむること
      決心(ケッシン) ある物事をしようと心に決めること。決意

5 さんずいへんにノ(カタカナ)の下に大(沃)
  読みは、ヨク・オク・ワク・そそぐ
  意味は、盛んなり、肥えし土、やわらか、川の名
  熟語は、沃田(ヨクデン) 肥えたる田地
      沃沃(ヨクヨク) 盛んにして美しきこと
      沃日(ヨクジツ) 大海をいう
      肥沃(ヒヨク)  土地が肥えていて作物がよくできること

これらの漢字は講談社の大辞典より引用しました。

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2.暮らしミニ情報 コーヒーを毎日飲む人は動脈硬化がすすみにくい
                         大滝 龍

 高血圧と診断された人のうち、毎日コーヒーを飲む習慣がある人は、飲まない人よりも血管の機能が良好であることが、日本人を対象とした研究(※1)で明らかになりました。

  (※1) Yamaji T,et al.Nutrients 2022.14(13)・2719.

 コーヒーの健康効果は血管の内皮機能にも及ぶのか
 コーヒーが健康に様々な利益をもたらすことを示す報告が相次いでいます。しかし、心血管疾患(心筋梗塞や狭心症、脳卒中など)との関係については一貫した結果は示されておらず、特に、高血圧患者の心血管系に対するコーヒーの影響は明らかになっていませんでした。
 そこで広島大学の山路貴之氏らは、同大学で健康診断を受けた高血圧の成人患者を対象として、コーヒーを飲まない人と飲む人の血管の健康状態を比較することにしました。研究者たちが注目したのは、内膜、中膜、外膜という3層からなる動脈の、内膜と中膜の機能にコーヒーが及ぼす影響でした。
 動脈血管の最も内側に存在する内膜の内皮細胞は、一酸化窒素(NO)をはじめとする、血管を広げる作用のある物質を分泌することにより、血管内皮機能の障害は、アテローム性動脈硬化(血管の壁の中に粥状のコレステロール[アテローム]が溜まって隆起し[プラーク]、血管が固くせまくなった状態)の初期から認められます。アテローム性動脈硬化が進行すると、血管の中膜に存在し、血管の伸び縮みを担う血管平滑筋細胞の機能も障害されます。
 血管内膜の内皮細胞の機能と、中膜の血管平滑筋細胞の機能を測定すれば、血管が狭くなるなどといった形態学的な変化が現れる前に、動脈硬化のリスクが高まっているかどうかを知ることができ、心血管疾患を予防するための早期の介入が可能になります。
 これまでに行われた研究では、生活習慣、たとえば、喫煙習慣や歯磨き習慣、運動習慣が血管内皮機能や血管平滑筋細胞の機能と関係することが示されていました。しかし、コーヒーを飲む習慣との関係については議論が続いていました。
 血管内皮機能の評価に最もよく用いられるのが、「血流依存性血管拡張反応(FMD)」の測定です。この検査ではまず、超音波を使って安静時の腕の血管の太さを調べ、次に、血圧測定時に使用するカフ様のもので圧迫して、腕の血流を5分間遮断します。カフを緩めた際に、内皮細胞から放出される一酸化窒素によって血管が拡張される現象を、再び超音波によって検出し、安静時と比較してどのくらい血管が拡張したかを計算します。
 数値が大きいほど内皮機能は良好と言えます。
 一方、血管平滑筋細胞の機能の評価に最もよく用いられる方法が、「ニトログリセリン誘発性血管拡張反応(NID)」です。この検査でもやはり安静時の腕の血管の太さを調べておいて、ニトログリセリン舌下錠(心臓の動脈を広げる作用のある、狭心症の薬)を使用してもらいます。そこから5分間にわたって血管の太さの変化を調べて、最大となった時点で安静時の太さと比較し、血管の拡張率を計算します。こちらも、数値が大きいほど平滑筋細胞の機能は良好といえます。

 コーヒーを毎日飲む人の方が血管機能は良好
 著者らは、2016年4月から2021年8月までの期間に、広島大学で健康診断を受けた462人の高血圧患者を対象に、コーヒーの摂取とFMD、NIDによって評価した血管機能の関係を調べることにしました。高血圧の定義は、収縮期血圧(上の血圧)が140mmHg超、または、拡張期血圧(下の血圧)が90mmHg超としました。
 462人の平均年齢は65歳で、59.7%は男性でした。
 65.2%に脂質異常症、29.2%に糖尿病、20.6%に心血管疾患歴がありました。また、54.7%は、喫煙者または以前の喫煙者(現在は禁煙)でした。
 それらの人々を、コーヒーの日常的な摂取の有無に基づいてコーヒーを飲む人(コーヒー摂取群、391人、平均年齢64歳、男性が57.5%)とコーヒーを全く飲まない人(コーヒー非摂取群、71人、平均年齢67歳、男性が71.8%)の2群に分けました。コーヒー摂取群の摂取量の中央値は1日2杯(※2)でした。コーヒー非摂取者と摂取者の収縮期血圧と拡張期血圧には差は見られませんでした。
 コーヒー摂取群のFMDは3.3%、コーヒー非摂取群のFMDは2.6%で、コーヒー摂取群で有意に大きくなっていました。
 NIDはそれぞれ11.3%と9.6%で、やはり統計学的な有意差が見られました。
 続いて、内皮機能障がい(FMDが1.6%未満)、血管平滑筋細胞の機能障害(NIDが 8.4%未満)のリスクとコーヒーの摂取の関係を検討しました。結果に影響を及ぼす可能性のある、年齢、性別、BMI(体格指数)、収縮期血圧、脂質異常症、糖尿病、心血管疾患、喫煙習慣を考慮して分析したところ、コーヒーを飲まない人と比べると、コーヒーを飲む人が内皮機能障害となる確率は45%低く、血管平滑筋細胞の機能障害となる確率は50%低いことが明らかになりました。
 さらに、コーヒーの摂取量と血管機能の障害の関係についても検討したところ、コーヒーを飲まない人に比べ、1日に0.5杯から2.5杯(約100〜500ml)飲む人において、内皮機能障害と血管平滑筋機能障害を発症する確率が統計学的に有意に低くなることが明らかになりました。
 コーヒーに含まれているどの成分が有効なのかはわかりませんが、適量のコーヒーの日常的な摂取は、高血圧患者の血管機能に利益をもたらすことが示唆されました。

(※2)この調査では、コーヒー1杯は200mlとしました。一般的なコーヒーカップ1杯は150ml程度で、マグカップ1杯となると250ml以上入ります。

大西淳子(おおにし じゅんこ)
 医学ジャーナリスト。筑波大学(第2学群生物学類医生物学専攻)卒、同大学大学院博士課程(生物化学研究科生物物理化学専攻)終了。理学博士。公益財団法人エイズ予防財団のリサーチレジデントを経てフリーライター、現在に至る。研究者や医療従事者向けの専門的な記事から、科学や健康に関する一般向けの読みものまで、幅広く執筆。
 (2022年11月10日付、日経新聞電子版より)

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3.踏切は危険 その2
                           かず

 前号では、視覚障がい者が踏切を渡ることはホームドアのないホームを歩くのと同様、きわめて危険であるということを記した。今回は、踏切を渡るとき注意しなければならないことや、これから踏切を使う際の確認事項などを記したいと思う。
 なお、前号同様右側を車道、左側を線路敷地内ということで記す。
 
    「現在踏切を利用している方・今後利用する可能性がある方共通」
 すでに心得ておられるとは思うが、今一度、踏切を利用するときの注意事項と確認事項を記したいと思う。

1 警報器が鳴っているときには絶対に渡りはじめてはいけない。
 ご存じの方も多いと思うが、警報器が鳴り始めてから遮断機が下りるまで、そして列車が通過するまでには意外と時間がある。長時間待たされるときなどは、つい渡りたくなることもある。しかしある程度時間を設けているのは、渡っている途中で警報器が鳴り始めたときに人や車を安全に脱出させるためである。警報器が鳴っているときに渡り始めることは法律でも禁止されていて、処罰の対象にもなっている。絶対に行ってはいけない。

2 イヤホンは必ず外すこと。スマホや携帯電話・電子機器の操作も絶対におこなわないこと。
 歩行中に片耳にイヤホンを付けて音楽や録音図書を聞いたり、スマホを操作する行為は、方向感覚を惑わせたり、安全確認がおろそかになる大きな要因である。踏切を渡るときには、とにかく安全な場所まで渡りきることだけに集中し、危険を誘発する可能性のある行為は絶対におこなってはいけない。最近スマホを使う視覚障がい者用の歩行支援アプリがあるが、踏切での安全確認には全く役に立たないことを必ず知っていただきたい。

3 渡り始める手前の安全なところで、必ずいったん停止し、周囲の状況の確認と安全確認を必ずおこなうこと。
 踏切を渡る手前と渡りきったところになにか目安となる目標を決めていることが多いと思う。電柱や標識の柱、歩道が途切れるところ、ガードレールなど。渡り始めるときには、必ず目安にしている目標物を確認しいったん停止しよう。次に以下のことを必ず確認しよう。
 警報器が鳴っているかいないか。車の通行状況。道の一番左端からどれくらいのところにいるか。体が正しい進行方向を向いているか。特に正しい進行方向を向いているか、道の左端からどれくらい右側に位置しているかについては入念にチェックすることが必要である。
 
4 渡り始めたら安全な場所にたどり着くまでとにかく渡ることだけに集中しよう。
 白杖や足の裏からの感覚、線路の溝をいくつ通過したか。体の動きや方向のずれ、歩幅の間隔、車や自転車の通行状況、すこし視力のある方は視力での確認などとにかく今持っている歩行のスキルをすべて使って安全なところまで渡りきろう。けっしてあわてる必要はない。
 
5 渡っている途中で警報器が鳴ることも想定しておこう。
 渡っている途中で警報器が鳴るとあわててしまい、パニックになってしまった経験もあるかもしれない。しかし、これはけっして珍しいことではないことを知っておこう。警報器が鳴り始めてもすぐに遮断機が下りて列車がやってくるわけではない。脱出するための時間はある程度確保されていること。また警報器が鳴り始めると、まず踏切手前の遮断機が下り、しばらくしてから渡ったところの遮断機が下りるようになっていることを知っておこう。
 途中で鳴り始めたときの対応方法であるが、詳しくは歩行訓練士の方などに確認していただきたいと思うが、あくまでもわたし個人の経験としては、渡り初めて1、2歩で鳴り始めた場合は、Uターンして引き返す方が良いと思う。しかし最初の線路を通過するくらいまで渡っている場合は、そのままあわてずに渡りきる方が良いかもしれない。
 理由としては、踏切手前の遮断機が先に降りること。Uターンした際、方向感覚がおかしくなることが多いことなどである。踏切内では、一度の方向感覚のミスが命に関わることもある。また遮断機が下りてしまってもあわてずにくぐって脱出しよう。背の高い方でも、しっかりとしゃがめばくぐり抜けることができるようになっている。
 
6 不安なときにはためらわずサポートを依頼しよう。
 歩行に少しでも不安を感じているとき「雨で車の音が聞きにくい、今日はなぜかものに良くぶつかったり方向感覚が定まらない、体調が良くない」などのときは、がんばりすぎずためらわずに渡る際のサポートを依頼しよう。サポートしていただける方がいるかどうかはなんとも言えないが、とにかく声をかけてみよう。
 また「大丈夫ですか。」などと声をかけられた場合は、積極的にサポートを依頼しよう。
 
7 防犯ブザーや笛を携帯しよう。
 もし踏切内で方向感覚がおかしくなり、脱出が難しくなった場合は、速やかにサポートを依頼する必要がある。しかし大声だけというのは意外と周囲には聞こえにくい。特に車道側でなく、線路敷地内に入ってしまった場合は、ほとんど人がいないので、非常に危険である。地震などのときと同様、笛や防犯ブザーならかなり遠くまで音が聞こえる可能性が高い。安心のため携帯することを考えよう。

     「今後踏切を利用する可能性が高い方」
 今後初めて日常的に踏切を利用する可能性が高い方は、前述の渡るときの注意事項に加えて、以下のことを事前に確認しておくことをお勧めしたい。
 なお、確認する際は、きわめて危険を伴う場所であるので、信頼できる晴眼者の方(可能であれば歩行訓練のスキルチェックも兼ねて歩行訓練士)といっしょに確認することをお勧めしたい。
 
1 必ず踏切を使う必要があるかどうか。
 近くに跨線橋やアンダーパスがあるか、駅構内を通ることができるかなど、踏切を使わなくても良い方法があるか確認しよう。やや遠回りになっても、ラッシュ時など、開かずの踏切状態となったときには、かえって早く目的地に到着できる可能性もある。

2 踏切の状況を確認しよう。以下のことを確認すると良いだろう。
@ 踏切を渡る距離。
渡る距離を知っておくことは大切である。距離は線路の数で決まる。大阪府内で多いのは、線路2組(4本、複線)分というのが一般的である。この場合は、だいたい10mくらいと言うことが多い。また主要駅付近では、4組(8本、複々線)と言うところも珍しくない。この場合は、20m近くになる。JR東海道線などでは、5組(10本以上)というところも存在する。このような距離となると我々がひとりで渡るのは控えた方が良いだろう。
A 遮断機が開いている間隔など。
どれくらいの間隔で警報器が鳴り始めるのかもあらかじめ知っておくと良いだろう。特に自分が利用する時間帯やラッシュ時の状況を知っておこう。これについては、路線の時刻表などを見るとある程度予想が付く。
B 交通量の状況。
踏切内は歩車道の区別がない。交通量もあらかじめ知っておこう。交通量が多かったり、大型の車両の通行が多い場所や時間帯では、より慎重に渡る必要がある。
C 線路がカーブしているかどうか。
線路は必ず道と直角というわけではない。場所によってはカーブしているところがある。線路の溝を確認しながら、距離や方向を確認している場合、カーブしていると方向間隔がおかしくなることがある。カーブしているかどうかの確認も大切である。

3 踏切の周囲の状況を確認しよう。
@ 歩車道の切れ目やガードレール、植え込みなどの状況。
 踏切に近づくと、歩道、ガードレール、植え込みなどはなくなり歩道と車道の区別ができなくなる。どの辺りで完全に歩車道の区別がなくなるのかを必ず確認しておこう。
A 線路と平行する道路と信号の有無。車の右左折の状況。
 踏切の前後には、線路と平行する道路があることが少なくない。また信号があるか
ないか、車が右折・左折できるかどうかもそれぞれの場所で異なっている。これらの状況も必ず確認しておこう。そして踏切の前後に信号もなく、右左折可能な道路がある場合は、踏切を渡るだけでなく、道路からの車の状況も確認しなければならない。非常に危険な場所と言えよう。
B いったん立ち止まれる目標の場所を定めておこう。
 踏切を渡る前、渡った後には、いったん停止して周囲の状況や方向などの安全を確かめることが必要である。安全に立ち止まれることができる目標の場所を定めておこう。

     「線路の溝が唯一の目標物 ゴツゴツした石が現れるときわめて危険」
 踏切内には当然であるが、動かない障害物は全くない。障害物となるのは動く車と自転車である。このような状況は、我々にとっては今どの位置にいるかなどの目標を定めることがきわめて困難で、方向を定めることが非常にむずかしい。
 しかし唯一動かない目標物がある。線路を埋め込んでいる溝である。前述に線路の数と踏切内の距離について記したが、今何組目で何本目の溝を通過しているかで、おおよそどれくらい渡りきったかを知ることができる。大阪府では一般的な2組4本の踏切の状況についてすこし記しておこう。
 まず列車の幅は約3mよりすこし狭いくらいである。線路一組の幅は、JR・南海・近鉄南大阪線で1mすこし、他の私鉄では、1.4mすこしである。列車の車輪は、車のように車体の一番外側でなく、真ん中付近に付いている。
 これらの状況からおおよその距離を想像してみると、遮断機の部分から1組目(2本目)の線路を渡り終えたところで約3mすこしくらい進んだことになる。2組目(3本目)までくると約6mくらい、4本目を通過すると後2mくらいで渡り切ることができる。なお、距離は状況によって変わるので正確では無いため、あくまでも参考程度にしていただければと思う。
 また方向感覚がおかしくなり、歩いているうちになにかゴツゴツした石のようなもの、きわめて堅い鉄の固まりのようなものなどが現れた場合は、線路敷地内にかなり入り込んでしまっている可能性が極めて高く非常に危険な状況である。すぐに笛や防犯ブザーで助けを呼ぶ必要がある。
 以上踏切を使うときの注意事項や確認事項などについて記した。踏切はホームと同様、状況によってはそれ以上危険な場所であるにもかかわらず、駅員などの専門的な方のサポートが受けられない。
 今一度危険を認識して利用する必要がある。
 
(参考) 
  NHKラジオ第2放送 視覚障がいナビ・ラジオ 
  7月24日 「視覚障がい者の踏切事故を防ぐために」


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4.健康道場 53 京の梅
                         わこさん

馥郁(ふくいく)[良い香りが漂っている様子のこと]とした梅の香りが春の始まりを告げる
 2月4日は、暦の上では「立春」、春の始まりとはいえ、まだ底冷えのする寒さです。この時期、八坂神社から、祇園下河原通りを下り、「石塀小路」と書かれたガスの行燈(アンドン)に導かれ、石畳の細い路地を入って行きます。両側には、落ち着いた雰囲気のお茶屋や料理旅館などが続き、路地の先を折れると、軒先にぽっと紅梅が咲いていました。ほんのりと梅の香りが漂ってくる。心なしか光もやわらぎ、早春の気配がしました。

今こそ見るべき京都の梅名所
 令和の由来となった万葉集 「梅花の歌三十二首の序文」で話題にもなった梅の花。新時代となってから初めて迎える梅見のとき。京都で絶対に見逃せないおすすめの梅の名所をご案内します。

*おすすめ@ 梅花祭(ばいかさい)
 京都きっての梅名所が、芸舞妓総出でいっそう華やぐ 全国天満宮総本社。
 北野天満宮京都の梅名所と言えば筆頭は「天神さんの梅」。
 御祭神菅原道真公が大宰府に左遷される際、京の自邸で「東風吹かば匂ひおこせよ梅の花 主なしとて春を忘るな」と詠み、梅の花に思いを託したところ、梅は大宰府の住居まで飛んでいったという飛梅(とびうめ)伝説まであるほど、梅と「天神さん」は深いご縁で結ばれています。現在の北野天満宮では、御社殿のある境内各所に梅の木があるのはもちろんのこと、梅苑に50種・約1500本もの梅の木が植えられ、毎年2月下旬から、3月下旬に見頃を迎えます。
 公開期間中には茶屋も設けられ、散策路沿いに、白梅、紅梅、一重、八重に咲く色とりどりの梅花を、甘い香りとともに、楽しむことができます。期間中の2月25日は菅原公の祥月命日。延喜3年(903)のこの日に大宰府で亡くなった菅原公のご遺徳を偲ぶ梅花祭が執り行われ、神職らは冠に菜の花をさし、神饌(しんせん、日本の神社や神棚に供える供物のこと)を供えて神事に臨みます。
 また、この日は紅梅殿前船出の庭で「紅梅祭野点大茶湯」が行われます。かつてここで豊臣秀吉公が北野大茶湯を催した故事にちなむもので、上七軒の舞妓さん・芸妓さんが総出で、お抹茶を点てて振る舞ってくれます(有料・拝殿券は前売り)。
 当日は毎月25日恒例の天神市も開催され華やかな気分のなか、骨董品や古道具などの物色もできます。
 北野天満宮  住所:京都市上京区馬喰町
        電話:075−461−0005
        参拝時間:楼門 5:30〜17:30、
        社務所:9:00〜17:00 境内自由

*おすすめA しだれ梅 城南宮(じょうなんぐう)
 咲き始めも、満開も、散り始めも、夢見心地に京都駅から4kmほど南にある伏見区の城南宮。宮城の南に鎮座し、平安後期にはここを囲んで白河上皇や鳥羽上皇の離宮が造営され、院政の拠点ともなりました。離宮は上皇や貴族が熊野詣に行き来する際に宿泊したり、方違え(かたたがえ)の宿所ともなったため、今も方除(ほうよけ)の大社として知られます。

 方違え(かたたがえ、かたちがえ)とは
 陰陽道に基づいて平安時代以降に行われていた風習のひとつ。方忌み(かたいみ)とも言う。外出や造作、宮中の政、戦の開始などの際、その方角の吉凶を占い、その方角が悪いといったん別の方向に出かけ、目的地の方角が悪い方角にならないようにした。
 方除(ほうよけ)とは
 日々の暮らしの中で、知らずに悪い方位に行くことや家の間取りが良くないことがあります。方位の障りや家相の心配がないように祈願することを方除と言い、城南宮には、建物の工事や引越、また通勤・通学・営業・旅行に伴う方除や八方塞がり除(はっぽうふさがりよけ)の祈願に全国からお参りされています。

 梅の満開の時期、城南宮を訪れた人は、この世のものとも思われない圧倒的なしだれ梅の光景を目のあたりにすることができます。神苑の約150本もの梅が、それぞれ桃色や白の花をつけた枝を地面に垂らし、黒い幹、若草色の下草とコントラストを見せて咲き誇るさまは、桃源郷さながら。
 またこちらの梅は、時期により三度楽しめます。咲き始めから六分咲きくらいまでは、花びらの色も濃い目で生き生きとしています。人も少ないので混雑を避けたい方は狙い目。その後、満開の時期はまさに夢のような光景。そして、散り始めの数日は、地面が“花びらの絨毯”に!満開後の強風の日や雨の日の翌日に訪れるとよいそうです。この時期、城南宮では「しだれ梅と椿まつり」を開催しています。期間中は毎日10時(土日祝は15時も)梅の枝を冠にさした巫女さんが神楽を舞うほか、「梅の花守り」(初穂料1000円)の授けもあります。(しだれ梅と椿まつり)
  城南宮 住所: 京都市伏見区中島鳥羽離宮町7
      電話: 075−623−0846
      拝観時間:神苑 9:00〜16:30(受付終了16:00)
      拝観料: 神苑 大人600円 小・中学生400円

*おすすめB 神苑には珍しい梅も 梅宮大社
 梅宮大社は四条通の西、松尾大社の少し手前にある古社。平安時代初め、嵯峨天皇の皇后、檀林皇后の実家橘家の氏神様を祀るため、井手より遷座したとされています。江戸中期に本居宣長が、献木の梅に添えて「よそ目にも その神垣とみゆるまで うえばや梅を千本 八千本」と詠んだ程の梅の名所とくに西陣苑には梅林もあり、甘い梅の花の香りが漂っています。また同じ木に紅白の花が咲く「想いのまま」、枝が金色の金枝梅などの珍しい梅、三月末に開花呉服(クレハ)枝垂れ、白牡丹などの品種もあり、長く梅の花を楽しめます。檀林皇后がここで祈願して仁明天皇を懐妊・安産したことから安産の神としても信仰され、安産祈願絵馬には「梅・産め」の文字が。梅も盛りの三月第一日曜日は「梅・産め祭り」が行われ、手づくりの梅ジュースや梅の実などがふるまわれます。
 梅宮大社  住所:京都市右京区梅津フケノ川町30
       電話:075−861−2730
       拝観時間:6:30〜18:00
        神苑  9:00〜17:00(受付終了16:30)
       拝観料: 神苑 600円 境内無料
       梅・産祭 日程 3月1日9:30〜16:30

 これらは月刊「茶の間」より引用しました。

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5.私の小さな旅 その22 社員旅行で北陸道、粟津温泉
                        今茨木童子

 高校を卒業して、大阪へ就職のため出てきたのは、昭和41年の春、印刷会社に就職しました。その当時は、私達は「金の卵」と言われて、もてはやされ、気に入らなければ辞めても、次の仕事は直ぐに見つかる高度成長期のまっただ中です。
 春は日帰りの、秋は1泊の社員旅行がありました。
 今のように高速道路は、名神高速道路があるだけで、また、そのバスにしても冷暖房を完備しているわけでもなく、暑い、寒い、と季節に逆らう手立てはなく、また、名神以外は一般の国道を走るので時間がすごくかかりました。
 福井県の名刹「永平寺」で見学に行ったのに板張りの本堂で座禅を組まされ講話を聞きました。もちろん作法に則って、正座していると、足が痛いので崩すと、長い尺棒を持った僧侶が後ろから肩先にその棒をさしかけて正座しなさいと、無言ですがいい、肩を一たたきされます。幸い私は、正座はなれていたのでたたかれることはありませんでした。
 芦原(あわら)温泉の近くでは、兄の源頼朝に追われた義経が、陸奥を目指して逃げる途中に立ち寄った、歌舞伎の名場面として知られる「安宅(あたか)の関」の説明を聞いたり九谷焼の窯元を見学したりして、粟津温泉に向かいました。生まれて初めて浜辺に仕掛けてある地引き網を皆で引き上げ漁師の体験もしました。
 網の中はもちろん魚はピチピチと跳ね回っていましたが、あの頃でもプラスチックの破片が入っていたのを思い出します。この頃から、この漁法はゴミの多さにだんだん廃れていったように思います。外国からの潮流に乗って流れてくる漂流物、細かく砕けたマイクロプラスチックによる海水の汚染、生態系に異常をきたす問題がよく報道されています。この頃からの蓄積が今になってクローズアップされているのがよくわかります。

                              このページの先頭へ

6.大阪に関連すること いろいろ 1

 今回は、大阪に関連する本を3冊、紹介します。
 
たこ焼きの岸本 蓮見恭子(はすみきょうこ)著 角川文庫
 大阪の住吉大社近くで、亡き夫から引き継いだ「たこ焼き屋」をひとり営む岸本十喜子。十八歳で家を出て行った息子は行方知れずのまま。だが、特製玉子サンドと珈琲が美味しい、カーリーヘアで豹柄ミニスカートの喫茶店のママ、子供食堂を併設した「キッチン住吉」の佳代など、商店街の皆と、身の回りで起きる事件を解決していく。熱々で美味しいたこ焼きが人々の心を優しく和らげる、どこか懐かしく温かく笑える下町人情物語。書き下ろし。

走らなあかん、夜明けまで 大沢在昌(おおさわありまさ)著 講談社文庫
 生まれて初めての大阪出張。二十七歳のサラリーマン坂田勇吉(ゆうきち)は、企業秘密の新製品を詰めたアタッシェケースを、手違いから堀河組というやくざに持って行かれてしまう。取り戻すには、敵対するセンバ会から取引代金の五千万円を奪わなければならない! 日本一不運なサラリーマンが走る! シリーズ第一弾。
 東京もんが大阪でハードボイルドな目にあいます。

白夜行(びゃくやこう) 東野圭吾著 集英社
 『小説すばる』1997年1月号から1999年1月号に連載され、1999年8月に刊行された推理長篇。白夜とは「日の出前および日没後のかなり長い時間にわたって薄明が続く現象」のこと。
 1973年に起こったある事件から1992年までの2人の主人公の19年間を描く長編小説。彼らの心理描写は意図的に排され、彼らを取り巻く様々な人間たちの視点を通してその言動が示されていく。
 大阪府東大阪市のとある駅から始まります。
 
 サピエに、以下の通りありますので、ご興味のある方は読んでみてください。
たこ焼きの岸本1          点字・デイジー・テキストデイジー
たこ焼きの岸本2 涙の花嫁行列   点字・デイジー・テキストデイジー
たこ焼きの岸本3 大阪で生まれた女 点字・デイジー
走らなあかん、夜明けまで     点字・カセットテープ・デイジー
白夜行              点字・カセットテープ・デイジー・テキストデイジー

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7.編集後記
                        上田 一裕

 わこさんの「健康道場 53 京の梅」は、京都の梅の名所案内です。大滝龍さんの「コーヒーを毎日飲む人は動脈硬化がすすみにくい」は、コーヒーの健康パワーについての話題です。どうぞご期待ください。
 新しい年度を迎える弥生3月この季節特有の日中は暖かくなりますが、夜間はまだまだ冷えます。この季節にお勧めするのは、コウイカです。冬のおわりから初春に旬を迎えるコウイカは、捕獲される際にスミをたくさん吐くことから別名スミイカとも呼ばれるイカだそうです。ぽってりとした胴体が特徴で、繊維がやわらかくもっちりとしています。コウイカは、筋肉や体をつくるたんぱく質や、筋肉の疲労回復などの効果があるタウリンが富、刺身や天ぷら、焼きイカなどにして食べるのがおすすめとのこと。夕餉の一品にいかがでしょうか。
 読者の皆様方には、ご自愛ください。

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